上尾の司法書士法人による家族信託、民事信託
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【認知症になった時のお困りごと】成年後見人がつくことに!?裁判所から監督されることになってしまった

1. 「親が認知症かも?」その不安は、ある日突然「現実の壁」になる

「最近、同じことを何度も聞くようになったな」

「実家の片付けができなくなってきたみたいだ」

そんな違和感を抱きながらも、日々の忙しさに追われて対策を後回しにしていませんか?実は、親の認知症が進行し、判断能力が不十分だと判断されると、ある日突然、家族であっても親の預金を引き出すことも、不動産を処分することもできなくなります。

これがいわゆる「資産凍結」の状態です。

この凍結を解除する唯一の公的な手段として紹介されるのが「成年後見制度」ですが、安易にこの制度を利用し始めると、多くのご家族が「こんなはずじゃなかった……」と後悔の声を漏らされます。なぜなら、成年後見制度を利用するということは、「家族の財産が裁判所の監督下に入る」ことを意味するからです。

本記事では、司法書士の視点から、成年後見制度の知られざる実態と、家族の自由を守るための「家族信託」について、具体的なエピソードを交えて詳しく解説します。

2. 【実録エピソード】「良かれと思って」選んだ後見制度が、家族をバラバラにした日

ここで、実際にあったあるご家族(仮にA様とします)のお話をご紹介します。

A様は、80代の母親と二人暮らし。母親に認知症の兆候が見られ始めた頃、実家のリフォーム費用や介護施設の入居一時金を捻出するため、母親名義の定期預金を解約しようと銀行へ向かいました。しかし、銀行の窓口で告げられたのは無情な一言でした。

「お母様ご本人の意思確認ができないため、手続きには『成年後見人』の選任が必要です。」

焦ったA様は、急いで家庭裁判所へ後見人の選任を申し立てました。「自分が後見人になって、母のために貯金を使えばいい」と考えていたからです。しかし、数ヶ月後に届いた通知には、見ず知らずの専門家(弁護士)が後見人に選任されたと記されていました。

そこから、A様の苦悩が始まります。

  • 「孫の入学祝い」すら出せない: 母親が可愛がっていた孫へのプレゼント代を出そうとしたところ、後見人から「それは本人の利益に直接関係ない支出なので認められません」と却下されました。
  • 毎月の報酬が発生する: 専門家が後見人になったため、母親の財産から毎月数万円の報酬が自動的に引き落とされるようになりました。これが亡くなるまで一生続きます。
  • 裁判所への報告義務: たまにA様が母親のために買い物をして領収書を渡しても、細かく使途を追及され、まるで「泥棒扱い」されているような気分になったと言います。

「母のお金は、母と家族のためにあると思っていたのに、今は裁判所の許可なしには1円も動かせない……。これでは、母が管理されていた時より不自由です。」

A様が涙ながらに語ったこの言葉こそ、成年後見制度のリアルな側面なのです。

3. なぜ「成年後見制度」は不自由なのか?知っておくべき3つの真実

なぜ、国が用意した制度なのに、これほどまでに使いにくいと感じるのでしょうか。それには、この制度が持つ「本来の目的」が関係しています。

① 「財産を守る」ことが第一で「活用する」ことは二の次

成年後見制度の最大の使命は、本人の財産を「減らさないこと」です。そのため、株の運用や不動産の組み換え、相続税対策のための贈与などは一切認められません。家族が「将来のために活用したい」と思っても、裁判所は「本人の現在の生活に必要ない」と判断すれば、首を縦に振りません。

② 後見人は「一度ついたら辞めさせられない」

「専門家への報酬が負担だから、やっぱり身内に交代したい」「制度の利用をやめたい」と思っても、原則として本人が亡くなるまで、あるいは判断能力が劇的に回復(奇跡に近いことです)しない限り、後見人は解任できません。一度走り出したら止まらない列車のようなものです。

③ 親族が選ばれる確率は「約2割」

厚生労働省や裁判所の統計によると、親族が後見人に選ばれるケースは年々減少傾向にあり、現在は全体の20%程度に留まっています。残りの80%は弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門家が選ばれます。つまり、「赤の他人が家族の通帳を握る」のが今の日本のスタンダードなのです。

4. 親が「まだ元気なうち」にしかできない、究極の解決策「家族信託」

「成年後見制度は嫌だけど、認知症になったらどうすればいいの?」

その答えとして今、最も注目されているのが「家族信託(民事信託)」です。

家族信託とは、一言で言えば「元気なうちに、信頼できる家族に財産の管理権を託しておく契約」のことです。

家族信託の3つの劇的なメリット

1.裁判所の介入がない
家族間で契約を結ぶため、家庭裁判所への報告義務も、監督官がつくこともありません。家族の判断で、柔軟に財産を使うことができます。
2.実家の売却もスムーズ
親が施設に入ることになった際、空き家になった実家を売って入居費用に充てたい場合も、あらかじめ信託契約を結んでいれば、子が売主となって手続きを進められます。
3.相続対策も同時に行える
認知症対策だけでなく、「自分が死んだ後は妻に、妻が死んだ後は長男に」といった、数代先にわたる資産承継の指定も可能です。これは遺言書ではできない、家族信託ならではの強みです。

5. 【比較表】成年後見制度 vs 家族信託

比較項目 成年後見制度(法定後見) 家族信託
開始時期 判断能力が衰えてから 判断能力があるうちに契約
管理の主体 裁判所が選んだ後見人 信頼できる家族(受託者)
自由度 非常に低い(本人の維持のみ) 高い(家族の意向を反映可)
ランニングコスト 専門家への報酬(永続的) 原則不要(家族間のため)
裁判所の監督 あり(厳格) なし

6. 司法書士が教える「相談のタイミング」:明日の朝では遅すぎる理由

「まだ親もしっかりしているし、あと1年くらいは大丈夫だろう」

そう思っている間に、事態は急変します。

家族信託は「契約」です。つまり、親に「自分の財産を子に託す」という意思を理解し、署名・捺印する能力があるうちにしか組成できません。医師から「認知症」の診断が下り、意思疎通が困難になった瞬間、家族信託という選択肢は永遠に失われます。

私たちの事務所に相談に来られる方の多くが、「もう少し早く来ていれば、もっと良い選択ができたのに……」と肩を落とされます。

親御さんが同じ話を繰り返したり、通帳の場所を忘れたりし始めたら。それは「焦るべきサイン」ではなく、「家族の未来を守るためのラストチャンス」だと捉えてください。

7. まとめ:後悔しないために、まずは「専門家の知恵」を借りる

認知症は、誰にとっても避けて通れない問題かもしれません。しかし、その後の生活が「裁判所の監督下での不自由な日々」になるのか、「家族の絆で支え合う自由な日々」になるのかは、今のあなたの行動にかかっています。

成年後見制度は、身寄りのない方を守るための素晴らしい制度ですが、支えてくれるご家族がいる方にとっては、時に「足かせ」となってしまうことがあります。

まずは、親御さんが元気なうちに、一度「家族会議」の場を設けてみませんか?そして、少しでも不安があれば、司法書士というプロの知恵を活用してください。私たちは、法律の知識だけでなく、多くの家族の葛藤を見てきた経験から、あなたのご家族にとって最適な「財産の守り方」を共に考えます。